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刺青彫り師は医師法違反・地裁判決

2017.09.28|甲斐野 正行

 平成29825日の私のブログで紹介しました、医師免

許のない彫り師が女性3名に刺青をしたことが、医師法17条

違反に当たるとして大阪地裁に起訴された刑事事件の判決

公判が、昨日(平成29927日)ありました。

 日経新聞の報道によりますと、大阪地裁(長瀬敬昭裁判

長)は、「針を皮膚に突き刺して色素を注入する行為は『皮膚

障害やアレルギー反応、ウイルス感染を起こす可能性がある』

と指摘。『危険性を十分に理解し、適切に対応するには医学

的知識や技能が不可欠だ』として医師免許が必要だと判断

し」、つまり、刺青を入れる行為は医療行為であり、医師免許

なしにすることは医師法に違反すると判断して、罰金15万円

(求刑罰金30万円)を言い渡した、ということです。

 前回のブログで述べましたように、医師法17条の「医業」、

その中身としての「医療行為」は、医学の進歩により、本来的

な治療行為だけでなく、「医師の医学的判断・技術をもってす

るのでなければ、人体に危害を及ぼすおそれのある一切の行

為をいう」というものと理解するのが通説的見解となっています

ので、刺青を入れる行為がそうした危険性を有する限り、大阪

地裁の今回の判決は、予想されたところと思います。

 ただ、被告人側が即日控訴したように、最高裁まで行くこと

をもともと想定していると思われますので、裁判所も、本来なら

一人の裁判官が審理を担当する事件を3人の裁判官で審

理する合議事件にして、慎重に対応しています。

 

 被告人は、表現の自由や職業選択の自由を侵害するもの

だという主張をしたようですが、天秤にかけるものが、人の生命

身体の安全という重いものですし、医師免許を有していれば、

刺青で表現することや彫り師という職業に就くことが制限され

るわけではありませんから、裁判所が受け容れるのはなかなか

難しいかもしれません。

 米国では、タトウーを入れる彫り師になるためには、州によっ

て異なるようですが、医師免許までは必要ないものの、タトウー

の学校に行って、感染症を防ぐことを含めた知識・技能を習

得した上でライセンスを取得し、定期的に講習を受けてライセ

ンスを更新するというような規制があるようです。どこまでの資

格を要するか、という問題はありますが、米国でも、人の健康

に影響があることなので、放置するのも適切ではない、という認

識なのでしょう。

 

 日経新聞の林純九州大名誉教授のコメントでは、刺青につ

いての専門資格を創設し、保健所等を通じて指導することを

提言しておられましたが、少なくとも現状の日本でそういうニー

ズがあるか、ですね。専門資格を創設し維持するのは、ただで

はできず、経費もかかりますから、それを必要とする社会的背

景とニーズが前提となるでしょう。

 タトウーが文化として日本でも違和感ないくらいに定着して、

彫り師を職業として選択することを希望する人が増えてくれ

ば、というところでしょうか。

  

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