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高次脳機能障害

高次脳機能障害・
等級認定事例紹介

多数の認定事例と今後の課題

平成13年※以降、当事務所では、意識障害と画像がともにない事例でない限り、最終的に実態に即していないと思われる等級が認定されることはかなり少なくなったように思います。意識障害と画像が重要な要素であることは、「高次脳機能障害とは」をご覧下さい。 今でも何件かは1回目の認定では等級が実態に即していないと思われる結果がでることがありますが、そのときには認定理由を吟味して、その理由に対処した証拠を集めて異議申立をすれば、2回目の認定では納得できる等級が出ているように思います。 そのため現時点においては、意識障害と画像がともに存在しないケースで高次脳機能障害特有の症状が発生しているケースをどうするか、が新しい課題になっているといっても過言ではありません。
長年、当事務所で扱った高次脳機能障害事案は数え切れません。そのうちいくつか事例をご紹介します。以下の事例における等級の考え方は、「高次脳機能障害とは」をご参照下さい。

※平成13年 自賠責に高次脳機能障害のための特別の審査部会が設立された。

自賠責の認定した高次脳機能障害の等級が異議申立により5級から3級に上がり、訴訟でも3級を前提に和解が成立した事案
Bさんは、自賠責の被害者請求をしたところ、5級2号との認定が下りました。

しかし、この認定はBさんの症状の実態に即しないものと思われたため、当初の後遺障害診断書をより詳しく補填するために主治医に医療照会し、その回答書とともに別途精神科の医師にも後遺障害診断書を作成してもらい、その他の資料等も添付して、労災認定基準に基づけば2級か悪くても3級と認定されるのが相当であるとして自賠責会社に対して異議申立の手続をしました。

その結果、3級3号と認定し直されました。訴訟では、被告側は5級が相当であるとして後遺障害等級を争いましたが、裁判官は3級の心証を前提に和解案を提示し、双方ともこれを受け容れて3級を前提にする和解が成立しました。
事故後、大きな減収がなかったが、一定の逸失利益を認める内容で和解が成立した事案
Yさんは、自賠責の被害者請求をしたところ、高次脳機能障害第7級4号を含め併合6級の認定が下りました。

Yさんは、事故後に職場復帰しましたが、その仕事ぶりは事故前とは全く異なっていました。ところが、勤務先の社会的配慮により、事故前とほとんど変わらない給料を支給されていたため、訴訟では逸失利益が認められるかどうかが大きな争点になりました。

そこで、Yさんの職場の上司や同僚からYさんの事故後の仕事ぶりを聴取し、その内容を、証拠として提出した結果、訴訟では、一定の逸失利益を認める内容で和解が成立しました。
画像所見がなく意識障害もないとして、自賠責では高次脳機能障害は認定されなかったが、訴訟で5級相当の高次脳機能障害を前提にした和解が成立した事案
初診時頭部外傷Ⅱ型、頚椎捻挫と診断され、頭部外傷後の意識障害の所見には「初診時意識清明」と記載され、CTやMRIでも異常なしとされていましたが、激しい頭痛、頚部痛、肩痛、上肢筋力低下の症状の他、注意障害、記憶障害の症状が残り、リハ科の後遺障害診断書では「頭部外傷、高次脳機能障害」、他覚症状の欄に「意識消失あり、特に軽易な労務以外の労務に服することができない」と記載されていました。 しかし自賠責では高次脳機能障害は認定されず、上記頭痛等により14級と認定されました。

その後当事務所が受任し、調査の結果、事故直後の救急車では意識障害があったことが分かり、労災では高次脳機能障害として5級が認定されていることから、5級相当の高次脳機能障害があるものとして提訴し、主治医の書面尋問を申し立てて実施するなどした結果、裁判所も5級相当の高次脳機能障害があるとの心証に至り、5級を前提とした和解が成立しました。
後遺障害等級が併合4級であったが、将来介護費を認める内容で示談が成立した事案
Xさんは、自賠責の被害者請求をしたところ、高次脳機能障害5級2号を含め併合4級の認定が下りました。

将来の介護費は、後遺障害2級以上の場合に認められることが多く、Xさんのように4級では認められないことが多いのですが、実際にはXさんは作業所に通ったり、両親の看視介助を受けており、将来も看視介助が必要と思われました。

そこで、Xさんが通所している作業所を訪問してするなどして、Xさんの介護状況に関する資料を提出した結果、将来の介護費も含めて、保険会社の提示額を大幅に上回る内容で示談が成立しました。(他にも同様のケースあり)
自賠責で併合1級と認定された高次脳機能障害の被害者につき、過失割合を考慮した裁判上の和解による加害者からの支払いと、あわせて被害者に付保されていた人身傷害保険によって被害者の過失分に相当する損害額を回収した事案
自転車と自動車の事故で、被害者である自転車側にも相当な過失が認められました。被害者には高次脳機能障害のほかの後遺症で、併合1級の重篤な後遺障害が残りました。

被害者は、人身傷害保険に加入しており、被害者の損害のうちの過失割合分については、人身傷害保険からの保険金の支払が見込まれました。そこで加害者に対し提訴し、裁判基準による損害額と双方の過失割合について裁判所の審理を経たうえ、裁判所から示された内容に基づき加害者と和解し、同時に人身傷害保険会社にも和解内容を連絡して人身傷害保険金を請求しました。裁判基準による損害額のうち、被害者の過失割合相当額については、人身傷害保険金を受領し、加害者と人身傷害保険から、被害者の損害額の100%相当額を回収しました。
自賠責で5級と認定された高次脳機能障害等級につき、異議申立をして3級に上がった事案
Hさんは交通事故により外傷性脳室内出血等の傷害を負い、高次脳機能障害を発症しました。
治療中より当事務所が受任し、症状固定後、被害者請求をしたところ、自賠責では高次脳機能障害5級が認定されました。

しかし、Hさんの症状から5級では軽すぎると考えられたため、主治医への医療照会結果や生活の世話をしている親族の意見等を新たに加えて、少なくとも3級相当であるとして異議申立をしたところ、これが受け容れられ、等級認定が3級に上がりました。 これに基づいて保険会社と示談が成立しました。
自賠責で非該当と認定された神経症状につき、労災の後遺障害認定に基づき、自賠責でも異議申立をして14級の認定がなされた事案
交通事故により鎖骨骨折等の傷害を負って手術後、骨折部に疼痛が残ったが、被害者請求による自賠責保険の認定では、後遺症が認められませんでした。

通勤中の事故であり、労災保険の障害給付申請を行ったところ、障害等級14級が認定され、それに基づき、自賠責保険に異議申し立てをして14級の認定を受けました。
これに基づいて保険会社と示談が成立しました。
自賠責の被害者請求で高次脳3級3号、複視10級2号の併合第2級、既存障害12級13号が認定されたが、異議申立ての結果、高次脳について2級1号が認定され、さらに既存障害は取り消された事案
Cさんはバイクに乗って直進していたところ、右折してきた乗用車に衝突されて重篤な傷害を負いました。
当事務所で多くの資料を集めて自賠責の被害者請求をしたところ、高次脳機能障害について、別表第二の3級3号、複視について別表第二の10級2号の別表第二併合第2級が認定されたものの、他方でもともと中学校のときの交通事故により脳内出血後のてんかんという内容の障害があり、それは既存傷害として12級13号で評価すべきものである、との認定が下りました。

既存障害が認定されると、その等級に該当する労働能力がもともと喪失していたと認定されます。Cさんの場合も、併合2級の労働能力喪失率は100%ですが、12級の喪失率は14%なので、結局、今回の事故では、100―14=86%しか労働能力が喪失しなかったものとして、損害を算定しなければならず、Cさんにかなりの不利になります。

ご家族や医療機関で調査したところ、高次脳機能障害についてもCさんの症状の実態に照らすと評価が低いように思われるとともに、既存障害についても何年も症状が出ていないことがわかりました。

そこで高次脳機能障害については、主治医の後遺障害診断書をより詳しく補填するために主治医に医療照会してご回答をいただきました。
また既存障害については、10年以上前の交通事故のときに治療を受けた病院に、その後症状がでていなかったことを確認したうえで、医療照会してご回答をいただきました。

これらの回答書や診療記録等を添えて異議申立てを行った結果、異議が認められて、高次脳機能障害について等級があがった別表第一の2級1号が認定され(複視は前回認定と同じ)、さらに既存障害は評価されないことが妥当とされました。

その後、この認定等級を前提にして、加害者側の保険会社との間で示談が成立しました。
示談成立後に高次脳機能障害であることが判明したため、自賠責で認定し直しをしたうえで示談をし直したケース
事例 平成13年以前に12級の等級認定がされ、示談が成立していました。
示談した当時は自賠責に特別部会が設立されていませんでしたが、等級認定を受けた後も性格の変化や集中力の低下など、高次脳機能障害特有の症状が続いたということで、当弁護士事務所に相談に来られました。
解決策 高次脳機能障害に詳しい病院で診断し直してもらい、その診断書をもって異議申立した結果、高次脳機能障害について3級、その他の障害との併合で2級が認められ、それを基にして加害者側保険会社と示談をし直して、追加の支払を受ける内容の示談が成立しました。
示談成立時にも高次脳機能障害の症状がでていたものの低い賠償額であったため、自賠責に異議申立を行い高い等級を得たうえで、調停を申し立てて増額支払いをうけたケース
事例 平成13年以前に12級の等級認定がされ、示談が成立していた依頼者が、平成13年以後も高次脳機能障害特有の症状が続いたので通院を続け、あまりに低い損害賠償であるとのことで相談にこられました。
解決策 高次脳機能障害に詳しい病院で診断し直してもらい、その診断書をもって異議申立をしたところ、3級3号が認定されました。
認定を基に調停を申し立て、加害者側保険会社との間で増額支払を受ける内容で調停を成立させることができました。
実態に即していないと思われる等級認定に異議申し立て、上位の等級の再認定が成立したケース
事例 平成13年以降に相談に来られた依頼者当初、自賠責の被害者請求をしたところ、7級4号との認定が下りました。しかし、実態は7級が想定したよりも重篤で労働や仕事に重大な影響が出ているように思いました。
解決策 3級か悪くても5級と認定されるのが相当であると判断し、当初の医師の後遺症診断書とともに新たに精神神経科の医師にも後遺症診断書を作成してもらった上で、異議申立をしました。その結果、5級2号と認定し直され、更にその等級を前提として加害者側保険会社との間で和解が成立しました。
自賠責と労災とで認定が異なったケース
事例 平成13年以降に相談に来られて、当初、自賠責の被害者請求をしたところ、高次脳機能障害5級、その他の障害12級で併合4級の認定が下りました。
ところが、その後労災においては高次脳機能障害3級、その他の障害12級との併合で2級の認定を受けることができました。
解決策 労災の資料を持って自賠責の異議申立をしたところ、自賠責でも高次脳機能障害3級3号、他の障害との併合で2級が認められ、それに基づいて裁判をしました。そして裁判においても同じように2級相当として損害賠償請求が認められました。
意識障害と画像所見が存在しないケース①
明確な意識障害と画像所見が確認できないために自賠責等級が14級しか認定されなかった方について訴訟をした結果、裁判官より9級相当の心証が示されてそれを前提として素因減額がされた和解が成立しました
(平成19年6月提訴、平成20年9月和解成立)。
意識障害と画像所見が存在しないケース②
意識障害の継続と画像所見が確認できないために自賠責等級が12級しか認定されなかった方について訴訟をした結果、裁判官より2級相当の心証が示されてそれを前提として素因減額がされた和解が成立しました
(平成20年12月提訴、平成22年12月和解成立)。
意識障害と画像所見が存在しないケース③
交通事故後高次脳機能障害の症状を呈しているが、意識障害所見、脳の異常の画像所見がなかったことから、自賠責では高次脳機能障害は認定されず、肩関節の機能障害だけとして12級の認定を受けた方について、高次脳機能障害につき5級、肩関節の機能障害と併合して4級として訴訟をし、軽度ながら意識障害があったことをうかがわせる資料を証拠提出でき、高次脳機能障害についての医師の意見書等も求めて立証活動をした結果、裁判官から高次脳機能障害で7級相当、肩関節機能障害と併合して6級相当という心証が示されて、それを前提で和解が成立しました(平成22年7月提訴、平成25年1月和解成立)。
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