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「 Ai - 死亡時画像診断  広島でもようやく導入 」

2018.06.07|甲斐野 正行

  今日(67日)の新聞で、広島大学霞キャンパスに「死因究明教育研究センター」が完成し、遺体診断に特化したCTが近く稼働するとの報道に触れました。

 医師でもある海堂尊さん原作で、阿部寛さん主演で映画でもヒットした「チーム・バチスタの栄光」で有名になった、あのAi(オートプシー・イメージング Autopsy imagingの略)ですね。海堂さんは、最近いろんな意味で話題になっているTBSドラマ「ブラック・ペアン」の原作者でもあります。

 犯罪死が疑われる場合、遺体の司法解剖が行われるべきなのですが、広島県では司法解剖ができる施設が広島大学しかなく、担当医師も限られる(現在は長尾教授だけとのこと)ため、十分とはいえない状況があったようです。

 これは広島県に限ることではなく、日本全国的な問題ですし、そもそも遺体の外見など客観的に異状死が疑われる場合でないと、なかなか司法解剖や行政解剖は困難です。また、ご遺族の同意を得て解剖しようとしても、多くのご遺族は解剖により遺体を傷つけることを嫌いますから、外見上異状死であることが明確でないと、解剖の同意を得ることは困難です。その結果、犯罪が看過されている場合があるのではないか、という問題意識が従前からあったところです。

 欧米でも同様の問題はあったようで、2000年前後には、欧米や日本で、これに対応するものとして、CTMRI等により、死体にどのような器質的病変を生じているのかを診断し、死因を解明することが考えられるようになりました。治療のためのCTMRIで死体の画像を撮るというのは、「コロンブスの卵」的な発想の転換です。

 これのメリットは、遺体を傷つけることがないので、ご遺族の了解が得やすく、また、司法解剖資格者が少なく、また、監察医制度も整備されていない日本の現状で、異状死かどうかやその死因のスクリーニングを広く行うことが期待できることです(Aiでも死因が分からない場合はあり、その場合は、解剖によれなければなりません。)。犯罪に限らず、医療過誤が疑われる事案でも、Aiがされることで、死因が明確になり、遺族の疑念が払拭され、あるいは、裏付けられて、余計な紛争が防止できるとも考えられます。

 もちろん、良いことばかりではなく、CTMRI自体たいへん高価な機器で、かつ、その使用コストも安くはないなかで、その費用負担をどうするのか(患者に使用するCTMRIを遺体に使用することには、患者に抵抗がある場合もあるので、遺体専用にする必要があります)、また、せっかく画像を撮っても、画像読影は一般的にたいへん難しく、司法解剖を担当する法医学者にそのスキルがないと意味がない、という問題点もあります。

 更に、縦割り行政的な問題もあって、欧米でAiが導入・活用されるのに、日本はなかなか導入・活用には至らない状況だったのですが、2007年にようやく警察庁が、殺人や事故を自然死としてしまう誤認検視を防ぎ、死因を迅速に特定するため、検視に医療用CTを導入し、各警察がCTを備えた医療機関と委託契約した経費を補助することになりました。2010年には厚生労働省全国医政関係主管課長会議で、「死亡時画像診断システム整備事業」の実施に必要なCTMRIを設けることが発表され、2011年時点で日本全国で、少なくとも17 大学が死体専用CTを所有し、または所有することになっていました。

 広島県でも、遅ればせながらようやくAiが導入・稼働されることになったのですが、設備があれば済むものではなく、関連機関の連携が大事ですし、何よりもそれを活用できる人材育成が必須です。

 Aiを広島でうまく活用できるよう願ってやまないところです。

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