「八木亜希子さん 線維筋痛症」
2019.12.25|甲斐野 正行
元フジテレビのアナウンサーで、今は女優として三谷幸喜さんの舞台では欠かせない存在として活躍しておられる八木亜希子さんですが、今日(12月24日)、所属事務所のHPで、「数日前から原因不明の体調不良が続き、回復の兆しがみられない為、医療機関にて診察を受けたところ、線維筋痛症との診断を受けました」「医師からの指示によりしばらくの間全ての仕事をキャンセルし、休養させていただく事になりました」と発表されました。
昨年1月25日のブログでも触れましたように、線維筋痛症は、身体の広範囲にわたって慢性的に軽度なものから強度のものまで痛みが起こる病気で、身体のこわばり、抑鬱気分、不眠、頭痛、強い疲労感・倦怠感、口や目の乾燥等の症状もあるようです。
診断基準としては、
・広範囲(右半身/左半身、上半身/下半身、体軸という身体の真ん中)の痛みが3か月以上続いていること
・一定の18か所(圧痛点といいます)を指で押して、11か所以上で痛むこと(11か所以上なくても、医師の判断で線維筋痛症と診断されることもある。)
が挙げられていますが、諸説あるものの、どういう原因や仕組みで発症するのか、いまだによく分かっておらず、これといった治療法もない状況です。
歌手のレディー・ガガさんも線維筋痛症ということで、闘病しておられます。
線維筋痛症は難病指定されており、日本全国で200万人以上の患者がいると推定されていますが、社会的な認知度は高いとはいえません。
そもそも医師を含めた医療従事者ですら、いまだにこの疾患への理解が乏しいのが現状で、うつ病など他の疾患と誤認されることも多く、医療的にも社会的にも支援は十分とはいえません。
画像にも現れず、傍からは外見上特に異常がないようにみえますから、人によっては、ご家族や職場からも理解されず、孤独な闘病を強いられることも多いのです。
八木さんもさぞや苦しい思いをされているのかと推察されます。
なお、線維筋痛症は上記のとおり慢性疾患ですので、上記事務所の発表のように「数日前からの体調不良」というのでは、上記の診断基準からして線維筋痛症とは断定しにくいと思われ、これは数ヶ月前の誤記か、数ヶ月来医師に相談していたところ、数日前から症状が悪化したということかもしれません。
このあたりも、この疾患の診断の難しいところでしょう。
医学の進歩によりいち早く原因が解明され治療法が確立されることが望まれるのは当然ですが、認知度を上げて社会的な理解と支援を進めることが大変重要です。