「米子松蔭 鳥取県大会出場復活おめ!相も変わらぬ高野連の歪さ(-_-;)」
2021.07.20|甲斐野 正行
鳥取県の米子松蔭高校野球部が、学校関係者に新型コロナ陽性反応が出たということで、同校の初戦が予定されていた今月17日に夏の甲子園の県大会出場を辞退を余儀なくされました。
時系列で追っていくと、今月16日深夜に、部員や部の関係者ではなく、学校としての関係者1人の新型コロナ感染が確認され、翌17日朝、高校に集合した選手らは抗原検査を実施し(結果的に陽性は確認されず)、同校校長が県高野連と協議しましたが、同校校長によると、「保健所が開くのは8時半でしたが、当日のメンバー交換時間は8時10分でした。こういうケースの場合に、対応できるような開催要項ではありませんでした。これは主催者側の不手際だと思います。しかしながら、試合開始時間の変更や日程変更の要請は一切受け入れて頂けませんでした。」ということで、やむなく辞退となり、初戦は不戦敗という扱いになったということです。
翌18日、同校野球部主将がツイッターで出場したい旨を訴えたところ、SNS等でこれに共感し、同校の出場を認めるよう求める声が相次ぎ、同校が、嘆願書を県高野連に提出しました。そして、文科省は昨日19日、日本高野連を通じて県高野連に再検討を要請し、県高野連は、一転、不戦敗を取り消して、対戦予定だった県立境高校との2回戦を明日21日に行う救済策を発表しました。
この件については、主将のツイッターから燎原の火のようにSNSやマスメディアで高野連への批判が広がりましたが、県高野連によると、文科省だけでなく、朝日新聞からも再検討の要請があったということですから、文科省や夏の甲子園を主催する朝日新聞にも強い批判の矢が行ったものと思われます。
県高野連による新型コロナ感染防止のための要領では「校内で患者が発生したときは、学校が臨時休校になることから、その間は大会参加できない」と定められていた一方、但し書で「保健所の疫学調査を踏まえ、専門家と協議した結果、参加できる場合もある」と定められていたそうです。
今回の問題は、この但し書の適用を柔軟にしなかったことがまずあるわけですが、その背景には、柔軟にしようとすると、日程の変更が必要となるが、県高野連的には、日程変更をしたくないという思考傾向があるということではないかと思います。
なお、県高野連会長は、会見で試合日程をずらせなかったのかという質問に対し、「ルールがなかった」と答えたそうですが、日程変更というのは、試合を入れる空きをどう作るかという調整事務の問題で、そのために県高野連があるのでしょうし、結果的には日程変更をしている訳ですから、およそ意味不明な回答です。
以前、このブログで現ロッテの佐々木投手が県予選決勝に登板しなかったことについて、高校野球の過密日程の問題に触れましたが(「大船渡・佐々木投手決勝戦投げず」2019.7.26)、結局、日程変更を認めると、そうでなくても過密な日程に無理が来るので、できるだけ認めたくないということではないかと思われます。
つまり、依然として日程についての配慮がされていないことが根っこにあると思われるのです。
平時でも日程変更を考えるべき場合が生じることは想定しておくべきですし、まして今の新型コロナ下では尚更です。
また、昨年甲子園も含めて部活動ができなかったことによる生徒たちの嘆きを思えば、教育に携わる立場として、できるだけ参加できる工夫や配慮を尽くす姿勢が望まれると思うのですが、今回はそれがまるでみてとれなかったのが残念ですね。
その意味で、もっと情けなく思うのは、今回、県高野連として、その責任で出場停止にするということではなく、あくまで学校側の辞退という形をとらせていることです。
このあたりは、強い権限を持っていて、それを普段から笠に着ているのに、責任は負いたくないという、いかにも残念な大人のやり口です。県高野連会長は、記者会見で「(辞退を認めた)当時の判断は問題なかった」と言ったそうですが、なんだかなあ、というところです。
同じような県大会辞退の問題は、他の県でも出ているということですが、野球以外の部活動ではどうなっているのでしょうか?
同じような悔しい思いをしている生徒たちがいないのでしょうか?
このあたりは、注目度の高い高校野球だけの問題にせず、マスメディアがきちんと取材して突っ込んでほしいところです。
以 上