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「モバゲー規約の一部差止め判決ー契約条項や約款の見直しの時期」

2020.02.06|甲斐野 正行

 今日の新聞で、昨日(5日)、さいたま地裁で、DeNA運営の、パソコンや携帯電話向けにゲームなどのサービスを提供するポータルサイト「Mobage(モバゲー)」の利用規約の一部が違法だとして、埼玉県の弁護士らで構成するNPO法人が規約の使用差止めを求めた訴訟で、DeNA側が有利になる不当な免責条項があるとし、該当条項の差止めを認める判決を言い渡したとの報道に触れました。

 

 報道によると、利用規約には「当社の措置によりモバゲー会員に損害が生じても、当社は一切損害を賠償しません」との条項があり、原告側は、事業者の不当な免責を禁じる消費者契約法に違反すると主張し、さいたま地裁は判決理由で、この条項が不明確で複数の解釈の余地があり、DeNA側が「自己に有利な解釈に依拠して運用している疑いを払拭できない」とし、差止めが相当と判断した、ということです。

 

 2007年施行の改正消費者契約法において、「消費者団体訴訟制度(差止請求制度)」が設けられ、同法に違反する契約条項の使用などを行う事業者に対して差止請求を行う権利が、一定の要件を満たす消費者団体(適格消費者団体)に認められており、今回の訴訟は適格消費者団体としてのNPO法人が、この制度を利用してのものです。

 この類いの契約トラブルによる個々人の被害額はあまり大きな額になることはなく(モバゲーの案件も個々的には課金額くらいでしょうか)、そのため、従前は、手間や費用をかけて訴訟まですることを躊躇し、事実上泣き寝入りする被害者が多かった(反面として、悪質な事業者が利益を保持していた)わけですが、そのような不当な事態を改善するため、額は少額だが被害者が多数にのぼるサービスを提供している事業者に対して、適格消費者団体が被害者に代わって訴訟を起こすことができるようにしたのです。

 

※消費者契約法

12条 

(略)

3 適格消費者団体は、事業者又はその代理人が、消費者契約を締結するに際し、不特定かつ多数の消費者との間で第八条から第十条までに規定する消費者契約の条項(第八条第一項第五号に掲げる消費者契約の条項にあっては、同条第二項各号に掲げる場合に該当するものを除く。次項において同じ。)を含む消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を現に行い又は行うおそれがあるときは、その事業者又はその代理人に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。ただし、民法及び商法以外の他の法律の規定によれば当該消費者契約の条項が無効とされないときは、この限りでない。

 

 DeNAに限らず、事業者側が一切責任を負わないという条項を契約や約款に設ける例はよく見るところです。条項にそう書いてあれば仕方ないと諦めてくれることを期待しているのかも知れません。

 

 しかし、消費者保護のための特別法である消費者契約法のみならず、基本法である民法にも、この41日から施行される改正法で、定型約款について、不当条項(相手方の権利を制限し、または相手方の義務を加重する条項であって、かつ、その定型取引の態様およびその実情ならびに取引上の社会通念に照らして信義則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるもの)を「みなし合意」の対象とせず、契約内容に組み入れられない旨の規律が設けられました(改正民法548条の22項)。

 

 そうすると、時代感覚としては、このような一方だけが不当に利益を得るような条項を敢えて設けることは許されないものとなってきていると思われます。

 そして、今回の事件のように、会社名が公にさらされることになるわけで、敢えてこうした不当条項を含む契約をしようとする会社に対する社会の評価は厳しいものになり、その損害は大きなものになると思われます。

 そういう意味では、事業者としては、これまで使用してきた契約ひな型や約款等を今一度見直すことが望ましいといえるでしょう。

 

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