「法廷あるある!ないない(^_^;)」
2016.11.08|甲斐野 正行
身体拘束されている被告人は、
護送車で裁判所に連れて来られ、
手錠腰縄状態で、警護の刑務官や警察官、
少なくとも2人に伴われて法廷に入廷します。
腰縄というのは、手錠に結んだ縄を被告人の
腰に巻きつけて縛り、
その端を刑務官が握るようにするものです。
入廷するまでの通路は、
外部から見えないようにする配慮と、
逃亡を防ぐために傍聴人が通る廊下や
通路はもちろん使いません。
裁判所内の待機する部屋から
法廷につながる内廊下を通ります。
法廷に入る前の通路は裁判官も通りますので、
かち合うこともよくあります。
結構気まずいものです。
裁判官が、先に入廷しており、
検察官、弁護人が揃っていれば、
裁判官の指示で手錠腰縄を外されて、
審理を始めることになります。
また、裁判官がまだ入廷していないとか、
検察官、弁護人が揃っていないため、
審理を開始するまで少し待つことがありますが、
そのときは、法廷の中の被告人の席に
施錠腰縄のまま両脇に警護の人が座って
挟まれた状態で待機することもよくあります。
そういう様子を傍聴席の一般の方が
生でご覧になると、ショックを受けるという話は聞きます。
被告人本人も、傍聴に来た家族も
当然いい気はしないでしょうし、特に裁判員裁判では、
手錠腰縄姿の被告人を見ることで、
この人は罪人なんだという
先入観を持つのではないか、
と危惧する声も以前からあります。
今年10月2日の新聞報道では、
覚せい剤使用罪の容疑で起訴された
被告人が、入退廷時に裁判官と刑務官が
手錠腰縄姿を傍聴人に見られないようにする
配慮を怠り、精神的苦痛を受けたとして、
国に対し、慰謝料10万円を求める裁判を
京都地裁に提起したということです。
その一方、今年9月14日には、
神戸地裁姫路支部で、窃盗事件の被告人が、
付き添っていた刑務官2人の隙を見て法廷から逃走し、
そのまま同地裁姫路支部の敷地外に出た
という報道もありました。
手錠などはしていなかったということですが、
刑務官はちょっと気が緩んでいたかも。
こういう事件があると、
どうしても裁判所や刑務官・警察官は、
逃亡を図られては困るので慎重になってしまいます。
どのタイミングで施錠腰縄を外すのかは悩ましいところです。
【終】