第48回勉強会【その3】
2018.02.09|吉村 友和
5 定型約款の変更
一旦定められた定型約款を変更するさいに、相手方の同意が必要か。
つまり、定型約款を準備した者にとって、定型約款を変更する必要が生じた場合(例えば年会費を値上げするとか)、相手は多数にのぼりますし、様々な場所に散在することが通常ですので、一人一人と合意や承諾を取り付けるのは困難です。
コストもばかにならないでしょう。そのため、相手の同意がなくても定型約款の変更を認める必要があり、改正民法ではその要件が規定されました。
まず、定型約款の変更が相手方の利益に適合する場合(例えば年会費を安くするとか無料にするとか)には、個別に相手の合意がなくても変更が認められます。
これに対し、年会費を値上げするといった場合には、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性など変更に係る事情に照らして合理的なものであることが必要となります。
例えば、年会費を上げるにしても、数100円程度の値上げであるとか、顧客のサービス向上のため必要とか、そいういった理由が必要となります。
6 最後に
改正民法はまだ施行されていませんが(平成32年4月1日施行が有力?)、改正民法の施行日前に締結された契約についても、定型約款に関する規定は適用されます。
もっとも、一方当事者が施行日までに書面等によって反対の意思を表示した場合は、施行日前に締結された契約については、改正民法の規定は適用されません。
※次回は、保証契約の改正点について説明します。
【続く】