交通事故(事故車と評価損について)の話【№3】
2017.01.06|根石 英行
評価損の具体的な金額の決め方ですが、中古車販売業者の査定価格や、専門機関(財団法人日本自動車査定協会)の査定なども参考にされますが、多くは修理代相当額の20%から30%の範囲で裁判官が適当に決めている、というのが実情です。①ないし③は認められても、④まで損傷の程度が及んでいない、というケースでは、評価損が認められることは厳しいでしょう。これが評価損についての裁判所の基本的な扱いなのです。
なお最近の車の乗り方として残価設定ローンという形があります。これはローンを組んで車を買って乗って、一定期間を経過すると、残金を一括で払って車を買取るか、そのまま車を返して残金を払わないか選択できるというものですが、もしその車が事故に遭ってしまうと、いざ車を返す時になって、車の価値が落ちているので、ユーザーが追加のお金を払わなければならないというものです。こういうケースですと買ったときから契約内容で、事故に遭った場合にはユーザーに負担が生ずることが具体的に予定されているので、評価損を賠償請求する必要性はより大きいといえますが、車を返す時に一体いくら払わないといけないのか、ということについての計算方法や手順など、当初の契約内容を精査する必要があります。
【おわり】