「離婚するときに考えること①」
2023.08.03|甲斐野 正行
厚労省の昨年9月発表の人口動態調査によると、一昨年(令和3年)の離婚件数は18万4384組、離婚率(人口1000人当たりの離婚件数)は1.50であり、令和2年の離婚件数19万3251組より8,867組(4.6%)減少し、離婚率は、令和2年の1.57から1.50に下がりました。
離婚件数は、2002(平成14)年の28万9836組をピークに減少傾向が続いているようですが、これはそもそも結婚自体が少なくなっているから離婚も少なくなっているという面もあるようです。
国際的な比較でいうと、2019年、2020年の統計では、デンマークの離婚率は2.7、アメリカは2.3、韓国は2.1、フランスは1.9であり、これらに対して日本の離婚率は1.7でしたので、先進国の中で多いとはいえないですが、イギリスやドイツも1.7でしたので、特に少ないというわけでもなさそうです。
ただ、いずれにしても離婚は家族の形が大きく変わることであり、今離婚を考えていらっしゃる方、あるいは、配偶者から離婚を迫られている方にとっては、これまでの経緯についていろいろな精神的葛藤がおありでしょうし、将来への不安など精神的にとても大変な状況にあるかと思います。
まずは、弁護士などの専門家や信頼の置ける方に相談してサポートを受けるなどして、精神的な安定を図ることが大事です。
離婚の裁判手続等の法律的な問題について相談したいけど、どんな弁護士に相談すればいいか分からないという方は、お近くの弁護士会や日本司法支援センター(法テラス、https://www.houterasu.or.jp/)にお問い合わせいただければと思いますし、地方公共団体(市区町村)でも、相談窓口を設置したり、無料法律相談等を行ったりしているところがあります。また、離婚後のお子さんのことについては、こども家庭庁の委託を受けた「養育費相談支援センター」 (https://www.youikuhi-soudan.jp/index.html)で養育費や親子交流(面会交流)についての相談に応じていますし、全国に設置されている「母子家庭等就業・自立支援センター」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000062967.html)でも養育費や親子交流についての相談に応じているところがあります。
また、家庭内暴力(DV)の問題があるという場合は、離婚以前に身の安全を図る必要がありますから、早急に最寄りの警察や弁護士に相談したり、保護支援を求めるなら「配偶者暴力相談支援センター」(https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/pdf/center.pdf)に相談してみましょう。それらによる支援を受けて、とりあえず身の安全を図った上で、次に離婚を考えるというのがよいと思います。
そして、離婚を考える場合、まず①離婚したいとして、それが手続的に可能なのか?②手続的に可能だとしても、離婚後の経済的問題、子どもの問題も考えたときに、離婚をするのがベターなのか?、③離婚するとしても、今なのか、あるいは、将来のどの時点で離婚をするのがベターなのか?ということも考えてみる必要があるでしょう。
ご自身にとっても家族にとってもとても大事な決断ですので、気持ちを落ち着けて、よく考えるのがよいかと思います。
次回は、それらについて見ていきましょう。