大切な人たちとの別れ【№2】
2017.02.20|中井 克洋
12月には、私の弁護士生活の中でも特に身近で大きな先達となってきた2歳年上の先輩が亡くなりました。
その方は東京の大先生ですが、私と同じ広島県安芸郡の出身でもあり、私のことを「中井ちゃん」と呼んでくれて、とても可愛がってくれました。
また仕事のうえでは、少し私が間違った言動をすると、ときには優しくときには厳しくたしなめてくださいました。
まだまだ働き盛りでしたが、逝かれる少し前に私に電話をかけてくださいました。
「自分は人より少し早く逝くかもしれないが、やりたいと思ったことはやれたと思う。だから悔いはないんだ。」とおっしゃり、本当に凛とし、毅然とされていました。
その電話では私のほうがおいおい泣いてしまい、その先生はむしろ私を慰めてくれました。
先輩にはまだまだ教えてもらいたいことがたくさんありましたが、男たるべきものこうでないといけないという一番大事なことを最後に教えてくださいました。
先生のような立派ですてきな方とこんなに早くお別れしなければならなかったことはとても悔しいです。
でも先生のように、やりたいことをやっていって、悔いのない人生にしたいと思います。
今年の1月には、私が司法修習生時代から25年以上にわたってお世話になってきた先生が亡くなられました。
もう80をとうに越えた大先輩でしたが、その方のおっしゃっていたことは本当に今の弁護士生活にとってためになることばかりでした。
「中井くん、本に書いてないことが大事だよ。だから弁護士の先輩達とどんどん交わるように。」「考えてもどうしようもないときには、考えない。そのときは酒が飲んで忘れるんだ。」
その先生は大往生でしたが、まだまだ教えていただきたいこともたくさんありました。
このように昨年から今年にかけて、私にとって大切な人たちが立て続けに逝ってしまいました。
これからもそういうことが続くかもしれませんし、もしかするといつ自分に番が回ってくるかもしれません。
逝かれたみんなが私にしてくれたように、私も一日一日大切に悔いないように生きて、次に引き継いでいきたいと思います。【完】