交通事故(車の損傷にまつわる賠償)の話【No.1】
2016.06.27|根石 英行
車を運転していたらいつ遇うか分からない交通事故。交通事故の相談のうち車に関わる損害で被害者の方が悩まれるポイントを思いつくまま書いていきます。
1 まずは経済的全損の話。大事な愛車、長く大切に乗ってきて愛着もある。
事故がなかったら、故障もなくまだまだ乗れたのだから、修理して事故の前と同じようにその車に乗りたい。
車を大切にする人ほど当然の気持ちと言えます。
ところが、事故に遭って直せるからとして修理代を相手に請求しようとすると、車の値段が修理代より安くなっているからという理由で、修理代を払ってもらえないことがあります。
事故の前と同じように愛車に乗るためには、被害者の側で差額の負担が必要となるのです。
事故のせいなのになぜ被害者がお金を出さないといけないのか?正義に反しないのか?
残念ながら、民法の考え方からすると、同じ車が中古車市場で修理代より安く買えるならそちらを買うべきで、被害者が壊れた車の修理にこだわるのは、被害者のわがまま、とみなされてしまうのです。 (つづく)