交通事故(過失相殺)の話【№1】
2017.03.03|根石 英行
事故に遭ったとき,相手に損害の全額を賠償請求できるとは限りません。むしろ幾らか減額されてしまう,というのが普通です。それは,民法の過失相殺(民法722条2項)という考え方によります。これは損害の発生やその拡大に被害者側にも要因が認められる場合には,損害の全部が加害者の責任によるものではなく,加害者が全部を賠償する必要はない,というものです。実際は損害のうちの何割かを減額する,ということになります。被害者の立場からすると,全くその事故が避けようがなかったので過失がないというものでないと,損害の全額を相手に賠償請求できないのです。
【つづく】