第48回勉強会【その2】
2018.02.07|吉村 友和
3 定型約款が契約の内容となるためには(組入
要件)
当事者が定型約款を契約の内容とする旨の合意をするか、定型約款を準備した者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示した時には、相手方が定型約款の内容を認知していなくても、定型約款が契約の内容となると定められました。
定型約款が契約の内容になるということは、定型約款に拘束されるということです。
ポイントとなるのは、定型約款を準備した者(主に事業者になると思います)にとっては、相手方に約款の条項の一つ一つを認識させる必要はないということです。
したがって、定型約款を契約の内容とする合意さえあれば、「定型約款なんて見ていないから契約の内容にはならず、拘束されない!」というような言い訳はできません。
4 不利益条項規制
もっとも、2で説明した、定型約款が契約の内容になるという、いわゆる組入要件はかなり緩く思えます。
そこで、定型約款を準備した事業者の相手方の利益が害されることを防ぐため、改正民法では、定型約款が契約の内容とならない場合があることを定めています。
これが不利益条項規制といわれるものです。
定型約款が相手方の権利を制限し、または相手方の義務を加重するものであり、かつ、その定型約款の態様およびその実情ならびに取引上の社会通念に照らして信義則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められる場合には、契約の内容ならないと定められています。
また、定型約款を準備した者は、取引の合意前または合意の後相当期間内に相手方から請求があれば、定型約款の内容を示さなければならず、定型取引を行うことの合意の前に相手方からの定型約款の内容の表示請求を拒絶した場合、定型約款は契約の内容となりません。
【続く】