特殊詐欺~被害者の心を深く傷つける犯罪~②
2018.09.05|中井 克洋
これだけ被害がでており、マスコミでもたびたび特殊詐欺の手口が
紹介されているのに、被害が減らないのはなぜでしょう?
被害者の方たちも電話がかかってきたときに、
最初は相手を疑っているようです。
しかし、性善説というか、まさか本当にそんな悪い人はいないだろう、
とか、テレビの中で報道されていることが自分にふりかかることが
実感できない、などの不思議な心理によって、話を聞いてしまいます。
いったんかかってきた電話で話を聞いてしまうと、
例えば高齢者の方であれば老後の生活や健康に対する
不安をもっているので、「少しでもお金を増やしておいたほうがよいだろう」
ともちかけられると、「そうかな」と思って次第に騙されはじめます。
そして、いったんひっかかるとそのまま言われるままに支払う人もいます。
断った人に対しては、今度は、「あなたが約束したために
既に私がお金を立替払いした。どうしてくれるんですか。」とか
「あなたがこの話にからんだことで、警察が動いています。
それを止めるためにはお金がいります。」などと脅して、
お金を払わないと大変なことになると不安にさせて、支払をさせたりします。
本当に巧妙な話法を犯人たちは準備しています。
今は銀行振込の限度額ができているので、
騙されたり脅されたりした人たちの多くは、銀行でお金をおろして、
指定されたところに、宅急便でお金を送ります。
お金をおろすときには、銀行の窓口の人が心配して、
「何に使うのですか」と聞いてくれるのですが、
「リフォームのためです」などと嘘を言ってしまいます。
宅急便でお金を送るときにも、宅急便の人が同じように
「中に何が入っているのですか」と聞いてくれるのですが、
これも「本です」などと嘘を言ってしまいます。
それは犯人たちが、「銀行や宅急便でそのように聞かれたら、
このように答えなさい。」と指示するからです。
続く