賃金等請求権の消滅時効について【№1】
2019.11.06|松田 健
ご存じのように、令和2年4月から改正民法が施行され、債権は、原則として、(主観的起算点から)5年で時効により消滅することになりますが、「賃金等請求権」(労働基準法115条)の時効期間は改正されなかったため、現時点では2年のままです。
「賃金等請求権」の代表的なものは、従業員の会社に対する「給料債権」であり、会社が従業員に給料や残業代を支払わなかった場合、従前どおり、従業員の会社に対する給料債権は2年で時効消滅することになります。
しかしながら、これに対しては、従業員の「給料債権」の時効期間が一般の債権の時効期間より短いのはいかがなものか(労働者の保護に欠けるのではないか)、という意見があり、現在、厚生労働省では、検討会を開いて、「給料債権」を含む「賃金等請求権」の消滅時効をどうするか(他の債権と同じように5年にするか)を検討しており、「給料債権」については、将来的には、時効期間が5年に延長される可能性が高いと思われます。
【つづく】