交通事故(代車料について)【№2】
2016.08.09|根石 英行
被害者としては使った分だけ認められると思いがちですが、これも裁判所の考え方は異なります。使った期間のうち、「相当な期間」に限られるのです。「相当な期間」は修理や買替に必要な期間をベースに考えますが、よく問題になるのは、修理の内容や損害賠償のことで加害者側と揉めてしまい、修理が遅れてしまって、代車の利用期間が延びてしまった場合です。買替だって、幾ら加害者が賠償してくれるのか決まらないと、さらに言うとお金を払ってもらえないと次の車を買うことすらできない、ということだってあるでしょう。それらを考えると、被害者としては、話がまとまらないのは相手の責任だから、代車の利用が延びても仕方がなかったと思いがちですが、裁判になってしまうと被害者が無理なことを言って長引かせた、とされてしまう危険性があり、すると代車料の一部を被害者が負担しなければならなくなってしまうのです。もちろん、加害者側が話を引き延ばした期間であると認められれば加害者に請求できるのですが、話し合いの経過を細かく説明しなければなりませんし、そのためにはその記録も必要になってきます。なお、加害者が賠償額を実際に払ってくれないから、お金がなくて修理ができなかったとか、買替ができなかったとか、被害者側の反論は基本的に考慮されないのです。
(おわり)