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「相続で後悔しない~その2:相続の基本ルール②・プラスの財産とマイナスの財産」

2023.04.05|甲斐野 正行

「相続で後悔しない~その2:相続の基本ルール②・プラスの財産とマイナスの財産」
 
 前回に続き、遺言がない場合の相続の基本で、今回は遺産の分け方です。
 プラスの財産とマイナスの財産(借金)を分けて理解しましょう。
 ここはよく誤解があるところですので、お間違いのないように。

① プラスの財産
  被相続人が死亡時に保有していた現金・預貯金・不動産・有価証券などです。
  遺産分割協議によって分けますが、相続人全員で合意できるなら、法定相続分 どおりでなくても構いません。

    ※ 遺産や特別受益かどうか注意を要するもの
    ⅰ 生命保険金
      保険金請求権は、遺産ではなく、保険契約で保険金受取人とされた人の固有財産とされています(ただし、相続税の対象にはなりますので、生命保険金があったときは税理士さんにはきちんと伝えましょう)。
      そのため、被相続人が特定の相続人に余分に財産を与えたいときに生命保険が利用されることがあり、受け取った生命保険金は遺産分割に当たって特別受益とされることも原則としてないのですが、遺産の額と比べて不公平とみられるほどに保険金額が高額の場合は、これを特別受益とみなされる場合があります。
    
    ⅱ 死亡退職金
      死亡退職金についてはその会社の退職金規定でどのように定められているのかをよく確認しましょう。
      退職金規定で受給権者の範囲、順位が定められている場合、一般的には遺族の生活保障を目的とするものであり、受給権者固有の権利であって、相続財産には含まれないと考えられています。
      例えば、被相続人の会社に退職金規定があり、配偶者が第一順位と規定されているときには、配偶者が遺産ではなく自分の権利として退職金を受給でき、遺産分割の対象にはなりません。
      ただし、これも遺産額と比べて不公平なほど高額な場合には、生命保険金同様に特別受益とされることがあり得ます。

② マイナスの財産(借金)
  被相続人に借金があったとき、プラスの財産と共に相続人はこれを引き継ぐことになるのですが、これは債権者との関係では、その借金額全額とか、遺産分割協議で決まったプラスの財産の割合に応じてではなく、法定相続分で自動的に分割されます。
  これは相続人間での遺産分割協議の内容如何に関わりません。
  債権者は、遺産分割協議には関われないのに、相続人の勝手な合意で債務を変な形で分けられて回収しにくくなるのは困りますからね。

  例えば、夫が家と900万円の借金を残して死亡し、相続人が息子3人だったときに、長男が跡取りということで、一人で家を相続し、次男・三男はプラスの財産を一切取得しないという遺産分割協議をしたとしても、債権者との関係では、次男と三男はそれぞれの法定相続分に応じて各300万円ずつの債務を負うことになります。
  兄弟3人の間で、長男が債務も全部負担するという約束がされていたとしても、それはあくまで兄弟間のことであり、債権者はこれに拘束されず、次男や三男に各300万円の限度で請求していけるということです。
  このようなケースは、遺産分割の形をとっていますが、次男と三男にとっては実質的に相続放棄と変わらないのですから、手続としては初めから相続放棄をしておけば面倒がなかったということになります。
 

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