交通事故(車の損傷にまつわる賠償)の話【No.2】
2016.07.04|根石 英行
このように修理代より車の値段が安い場合のことを経済的全損と言います。
相手の保険会社の担当者などから、「経済的全損ですから、修理代は出ません」 という説明を聞かされることになります。
この点は判例上確定した考え方であり、その当否を裁判で争っても覆すことは困難です。
今はインターネットで車の車種、年式などを検索すると業者のホームページなどで、販売している中古車の値段が分かります。
これらの中から自車と同程度のものを捜して販売価格を調べるとか、価格の平均を取るとかして、少しでも車の価格を上げて賠償額を増やすことなどしかありません。
また、いざ買い替えるとすると、処分費や新車の買替諸費用が発生しますので、それらについても損害額に加算することができますし、さらに言えば事故に遭った車の車検が残っていれば、その期間の車検費も無駄になったことになりますから、残存車検費用も車の価格に加算できます。
このように修理の当否ではなく、車の全損に関わる賠償額を増やして交渉するしかないのです。
保険会社には、車種年式ごとに、毎年中古車価格を調査したレッドブックというハンドブックがあり、そこの値段をベースにしてきますが、レッドブックは年式が古くなると掲載されないものあり、そのような場合にはかえってネットで検索した方が実際の中古車価格が分かるので、有効です。 (つづく)