無期転換ルールの本格的運用
2018.04.13|川崎 智宏
先日の松田弁護士のブログでも取り上げられていましたが、
球春が到来し、プロ野球が開幕、カープもリーグ3連覇に向け
まずまずのスタートをしたのではないでしょうか。
さて、野球界をはなれて、
労働契約の世界では今年の4月から、
無期転換ルールの運用が本格的に始まりました。
無期転換ルールというのは、
有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、
有期契約労働者(契約社員、パートタイマー、アルバイトなど)
からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)
に転換されるというものです。
平成30年4月で無期転換ルールを定めた改正労働契約法が、
施行された平成25年4月1日から5年となるので、
無期転換ルールの対象となる有期契約労働者の方が
今後増えてくると思われます。
運用が本格的に始まるということは、
今年の4月以前にも無期転換ルールが運用されていた?
と疑問に思う方もいるかと思います。
無期転換ルールの対象となるのは、
有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合です。
この5年間の期間のカウントの対象となる有期労働契約は
平成25年4月1日以降に開始したものが対象となっています。
例えば、契約期間が1年の有期労働契約を
平成25年4月以降に開始した場合、
翌平成26年4月が最初の更新となり、
翌年、翌々年と更新をしていき、
平成30年の4月に更新を行った時に期間が5年を超えたことになり
無期転換ルールの対象となります。
この場合は平成30年4月以降に無期転換ルールの対象となります。
一方、上記の場合と異なり、
契約期間が2年の有期労働契約を
平成25年4月以降に開始した場合、
最初の更新となる平成27年4月の通算期間が4年となり、
2回目の更新の平成29年4月で通算期間が6年となるので、
平成29年4月の時点で無期転換ルールの対象となります。
このように、通算した期間が5年を超えると、
平成30年4月以前であっても
無期転換ルールの対象となる場合がありえたわけです。
もっとも、一般的な有期労働契約の場合、
期間が1年を超えるものが多くないため、
結果として平成30年4月以降に期間が通算して
5年を超えるものが多くなります。
そのため、平成30年4月から始まるではなく、
運用が本格的に始まるといった表現になるというわけです。
無期転換ルールの対象になるのは
平成30年4月1日以降からだと思っていたら、
知らないうちに無期転換ルールの対象になっていた
なんてことのないよう気をつけたいですね。